宮城の日本酒 蔵元紹介
<あ行>
阿部勘、於茂多加(阿部勘酒造)
塩竈神社の男坂にほど近くに佇む阿部勘酒造。三百年以上の歴史ある酒蔵。主役級の旨さなのに、常に控えめ。阿部勘さんのお酒は、「最高の名脇役」。蔵人晩酌酒の本醸造や純米酒は、飲食店さんにも信頼が厚い。幻の米と言われる酒米「亀の尾」の酒はゆるぎない逸品。ひとつひとつのお酒がキラリと光る。香りふわっと味わいシャープ。阿部勘さんの社長である蔵元と蔵人の間にある心地よい緊張感。平塚敏明杜氏は、故・伊藤栄杜氏の南部杜氏の造りを継承、自身のチャレンジもしながら、王道を築き、季節酒や杜氏の遊び酒など生み出している。任せられる蔵人の存在の成長も阿部勘の進化とともにあり、チーム阿部勘がここにある。一緒にしてきた経験の日々があるからこその信頼。食べて飲んで旨さひとしお、最高の名脇役・阿部勘の酒。
【杜 氏】 平塚 敏明
【文責】 むとう屋 佐藤 華子(華ちゃん)
一ノ蔵、すず音(一ノ蔵)
農業の視点から考えた酒造り。そして南部杜氏の伝統を守る。この思いを強く強くもっている一ノ蔵。農業を中心に考えていくことで生まれる広がり。農家の方、地域の方と関わり、繋げていく。これが先代から繋がっている想い。一ノ蔵さんのお酒に使う酒米は、顔が見えます。農家の気持ちがわかるから、想いも強くなる。たくさんの蔵人ひとりひとりが「いちのくら」の酒に誇りを持っていて、社員ひとりひとりが「大のいちのくらファン」でもある。蔵人をまとめる門脇豊彦杜氏がよく「蔵人の飲まない酒は造らない」と話すほど、愛情が深い。「酒造りの先の人作り」。杜氏や蔵人は大変な事なのに、楽しそうに見えるのは私だけだろうか。門脇杜氏のワクワクや意気込みがこちらまで伝染してくる。あの空気は杜氏と蔵人の信頼でしかない。定番酒の無鑑査は今なお「ほっとする」晩酌の名品。日本酒のシャンパン「すず音」は、発泡清酒の草分け的存在。笙鼓(しょうこ)は、小さな小部屋で仕込まれる大和撫子のような雫酒。宮城でも大きく有名な蔵と思われているが、あの規模でとことん手造り。誰もがあっと驚く、心躍る酒を、昔も今も造り繋げている酒蔵。
【杜 氏】 門脇 豊彦
【文責】 むとう屋 佐藤 華子(華ちゃん)
浦霞(佐浦)
創業享保9年(1724)の老舗蔵。塩竈港町の酒蔵。「王道」「歴史」。一言でいうならそうだろう。吟醸ブームの先駆けとなった「浦霞禅」を生んだ酒蔵。禅は、まぎれもなく日本酒の玄関口という歴史を作り、今なお多くのファンの心をとらえている。「量よりも質、本物の酒を丁寧に造って売る」そのまっすぐな方針を今も昔も守り続けている。毎年仕込んでも毎年答えが違う。同じようにやっても答えが違う。それがお酒の造りの奥深さだと話す杜氏。伝統ある場所だからこそ、その内側では常に進化と向上心。絶対にお客様をがっかりさせちゃいけない。今年もおいしく飲んでほしい。浦霞さんは、そこに尽きます。「いつもの浦霞」。そう言われることは本当にすごいと思う。だからこそ杜氏も蔵人も、浦霞に関わる全ての人は、きっとどこよりも慎重でぶれない。
【杜 氏】 小野寺邦夫(本社蔵)・赤間勲(矢本蔵)
【文責】 むとう屋 佐藤 華子(華ちゃん)